NPO法人 ディアー1 



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大阪城
 

 福祉のまち、大阪


<大阪は古くから福祉につよい>



聖徳太子(厩戸皇子)が作った、病気の人や身寄りのない人々を収容する大きな施設が、古代からもうすでに四天王寺(大阪府天王寺区)にあったことが、この地に引き継がれているのでしょうか
大阪は、国の政策に先立って、明治時代からも個人での福祉活動家がかなり多かったため、福祉団体の創生につながり「福祉実践のまち」といえます。

たとえば、民生委員(方面委員)も大阪が発祥と言われています。

もちろん、江戸時代から商人の力が強く、他藩へお金を貸し付けるなど、財力の有り余る豪商が多くいたことも、背景の一つだと思いますが
大阪へ労働者が集中した明治時代以降には、生活困難・疾病や貧困が目に見えて増大し、困窮する人たちを見るにみかねて
私財を投じて、手探りで福祉を実践してきた先人たちの、歴史があります。

口も出すけど手えも出す
言いたいこと言うけど情けも深い
大阪はそういう、見る・言う・動く という実践に長けている特徴があると思います。

 
 

 ディアー1と障がい者さんのつながり 


< ともに歩むガイドとして、援助者として >



ディアー1が立ち上がったころ、まだまだ利用者さんが少なく、仕事を広げるために、数人がガイドヘルパーの資格を取得しました。
当初はおもに、視覚障がいを持つ方のガイドヘルパーの依頼が多くありました。点字の勉強もしたそうです。
視覚に障害があっても、いきいきと生活を楽しまれ、ショッピングや博物館やプールにも行かれます。
旅行だってガイドヘルパーと一緒に行きます。
かかわりが信頼関係をうみ、利用者さんと長く付き合いが続き、もう十数年にわたって当事業所を利用されている方も何人かおられます。

もちろん、同様に、身体障がいがある方の移動支援も行っています。

また、高齢になられて介護保険の利用となるときには、どのようにサービスを移行すればスムーズに、現在の生活の質を保てるか、ご本人と相談して一緒に考えます。


 

 介護保険と障がい者サービスの壁 


< 障がい者の65歳問題 >



「介護保険優先」
これは、障がい者支援サービスと、介護保険サービスと併用する場合
同じ内容のサービスは、介護保険制度を優先するように定められていることを、支援者や当事者のあいだで時折使う言葉です。

これにより、障がい者の方が、自己負担なく使えていたヘルパーさんのサービスが、65歳になって介護保険認定を受けたとたんに、これまでの時間数から大幅に使える時間が縮小され、しかも収入に変化がないのに、費用の一部負担が発生する
ということが起こります。

「お金払うことになったのに、サービス削られるんか」
という人もでてくるわけです。

介護保険は、申請制なんだから(65歳〜75歳の認定率は4.5%程度)
認定申請をしなかったらいいやん
と、思いませんか?
わたしは、介護保険必要なかったら申請しなくていいんじゃないの?と思ったクチです。
イエイエそうはいきません。ご丁寧に、65歳になる誕生日の数か月前から介護認定を申請をするよう通知が来ます。

日本では、65歳を境にして
「障がい者」として支援を必要としているひと
が、「高齢のため」支援が必要な人 へと、カテゴリー変更をせざるを得ないのです。

障がい者施策の策定は終戦後の昭和24年であり、応能負担(支払える能力によって負担金額が変わる)です。
かわって平成12年にできた介護保険は、応益負担です。(受けたサービス量によって負担額が変わる)

また、介護保険は「社会保険」で、50%が私たち40歳以上の国民から徴収している税金です。
(だから、いろいろと厳しいです)
障がい者サービスは、全額が税金です。
(社会からの扶助って、財源が大きすぎてぼやっとした雰囲気)

みんな高齢者になったら困るんだから

障害を持っていても、自分らしく生活できる権利

なんか、土台が違う制度なのに
一緒くたになっちゃう危険性をはらんでいるのが、65歳なのです。


介護保険は、申請することでのみ制度の利用を可能とする「申請主義」ですが、障がい者サービスの給付決定(サービスを使える期間)は、65歳到達前まで、とされています。

(どこか、給付期間が65歳誕生日をまたいでいる自治体ありますか?)

障がい者サービスを利用している人には、行政から介護保険申請の強要があることが実際ではないでしょうか。

介護保険申請で要支援認定となってしまい、生活の援助に介助が受けにくくなり大変困る・・
障害年金では一部負担が金銭的に苦しい・・

など、さまざまな混乱が生じています。

近年、障がい者の方が、強い意志をもって介護保険を申請しない、と
地方自治体と対峙する事例が増えてきています。

その関連から全国的に訴訟にもなっています。

一昨年の12月(2018.12 高裁判決)に障がい者の訴えが一部認められたことから、流れは変わりつつあります。


もうちょっと
突っ込んだ話をしちゃうと・・(こころもち小さめに)

国は、障がい者も個々の困難によって、介護保険とも柔軟に併用もできるよ、だめって言ってはないよー
って、上から国民に「ケースバイケースでいいんだよ〜」って言ってるんですよ・・

で、地方自治体ががですね、厳しく「介護保険優先!」って、障がい者と争うんですよ。

なんでだと思います?
65歳以上で障がい福祉サービスを使った人が自治体に居る場合、国からの財源を減額する規定がある(H27年資料)らしいです。

結局、ね。そういうことなんか、と。





 

 喀痰吸引について 

喀痰吸引

< 喀痰吸引などの医療行為を介護で行うには >



在宅介護において
喀痰吸引という行為があります。

読んで字のごとく、用具により痰を吸引します。
このことには
「実質的違法性阻却」 という、読みづらくわけのわからん漢字が関わってきます

呼吸困難になることを防ぐ「たん吸引」や、食事の摂取が困難となった場合の「経管栄養」の行為は
法律で「医行為」にあたり
医師・看護師のみが実施可能とされています。

でも、痰吸引や胃ろうは、日常的にしょっちゅうする必要性がある、と
「実質的に判断が行え、正当化される」
ため、違法だけれども、その違法性は阻却される

という論を根拠にして

介護ヘルパー等でも、できるようにしましょうよ。(医師・看護師以外にも実施を容認する)
と、長年グレーゾーンだった上記のことが
2012年に制度として整備されました。

とってもいいことです。
待ってました!


しかしですね
行為者や対象者が守られる(はずの)この制度によって
わたしたち支援者や、訪問介護の事業所
なによりも当事者・家族が、大変困る事態に発展しています。

かねてから一番の問題である「ヘルパーさんの確保」が、いよいよ現実的な課題として、大きな壁として向き合うことになりました。

制度が敷かれたことにより、ヘルパーさんを探すことが、まるで宝探しと化したのです。

どのくらい宝探しか、熱を込めて!説明したいと思います。


いろいろなパターンがありますので、例として

重度の障害をもち、介護保険と障害サービスを併用して、在宅で暮らす、人工呼吸器を装着している24時間の喀痰吸引が必要なひと
を、介護・障害支援チームで支える事例でご説明します。

まず、これは、制度の開始以前からのことですが
障害のある方のケアには、基本的な技術の習得はもちろんのこと、精神的な強さが求められます。

体力・技術・精神力を備えたヘルパーさんでないと事業所側も「いけます」と返答できません。
もちろん、身体的な介護が中心となるため、基本的に同性介護になります。

容易に想像できると思いますが、そのような技術を持ちえるヘルパーさんは忙しく、時間が空いていません。

事業所に時間を勘案してもらい、ヘルパーさんの稼働時間と、利用者の希望時間と「一致」すること自体が、案外難しいのです。


2012年制度改正によって、人工呼吸器の装着者のケアには、喀痰吸引3号研修が必要となりました。

喀痰3号研修は、18時間の講義・演習の時間が必要です。費用も数万円かかります。


また、在宅ケアの基本として
本人・ヘルパーの双方の意思の確認が必要です。

面談を通して、ヘルパーさんには、重度障がい者のケアの責任を実感してもらい、利用者・家族さんには、ケアの時間のあいだ、身を任せられるかを判断してもらい、本人によるサービスの選択・契約の了承を得ます。
(昔の措置的なサービス利用はありません)

双方の同意があり、ケアの引継ぎを開始します。

通常の介護サービスよりも長い時間、同行研修を行うことが求められます。(たいていはケアが難しいからです)
私が経験した一番長いヘルパーの引継ぎ同行研修で3か月です。研修期間は事業所への報酬はありません。(一部制度変更有)


いよいよ、喀痰吸引等の特定行為業務について、対象者本人への実地研修を自宅で行います。
その際には、自宅に来てもらえる実地指導教官の確保・指導への医師の指示書を用意します。

この実地研修において、認可有効とされるのは対象者本人1名のみでありながら、数万円の費用がかかります。

さらに、一人の利用者さんに対して、数名のヘルパーさんを準備するとなると(交代要員も必要ですので)その費用は、大変な負担となります。


策定では、この費用を負担することについて「どこの負担になるか」明記されていないため、自治体に問い合わせたことがありますが、自治体の指導では、対象者である利用者さん本人、もしくは、事業所が負担するしかない、折半にしてはどうか、とお話されました。

私のかかわる事例においては、すべて、訪問介護事業所側が負担されています。

ちなみに、数年前まで(制度策定前には)家族と同様にヘルパーさんも看護師の指導をしっかり受けてはいましたが、費用は発生していませんでした。



実地研修を無事終えて、手続きを行い研修機関を通し、書類の交付を待ます。

そこから、ケアに入るためにさらに都道府県自治体へ提出する書類を用意して、申請します。

自治体に、特定行為を行なう事業所としての登録と、ヘルパーさん各個人の認定登録が、必要です。

必要書類の一部として、ヘルパーさんの資格証明や住民票などの取得・添付が必要です。 (ヘルパーさんに、役所で申請して受領してもらうのだけでも、一手間です)

自治体からの認可をじっと待ちます。
(ありがたいことに大阪は、認可を素早くする努力をしてくれています)


その間に、訪問介護事業所は、ケアの開始に必要な書類をそろえます。
書類がこれまた・・

喀痰吸引等業務の提供にかかる同意書
介護職員等喀痰吸引等指示書
喀痰吸引等業務計画書
安全委員会構成員緊急連絡網
および、喀痰吸引業務実施報告書など
「ぎゃおー」と手をバンザイしたくなる内容です

介護は現場でやってんだ机でやってんじゃねんだよ、と言いたくなるはずです。 (わたしは上記書類を作成したことはございませんが)


認定特定行為業務従事者として自治体から、ヘルパーさんに認定証を交付され、さらに、所属する事業所が認定特定行為業務事業者(早口言葉を書いてるみたい)として登録されていることを踏まえて

やっと、業務にあたれます。(事業所はようやく1時間当たりの報酬が発生しだします)


急に介護が必要になった時には、この手続きをしなければいけないという

「制度によりヘルパーの導入に時間がかかる!」リスクは本当に重いものです。
本人・家族にとって、命にかかわる恐ろしい負担です。


ここまできても、何らかの理由で、ヘルパーさんがマッチングできずに辞めることになった場合には、また、一からです。
(こういうこともあるリスクを、本人・事業所さんは背負っています)


サービス事業者にとっては、必要な研修・研修期間中の、報酬が無いあいだにかかる人件費・書類作成・申請や各種依頼の手続きに、多大な時間と労力とお金がかかります。


そこまでして、訪問介護事業所が重度のケアにヘルパーさんを派遣しようと思いますか。
業務に入るまでだけの費用を計算しても、何年もケアを継続して、やっとペイできるほどですよ。

要介護1のおばあちゃんのケアでも、介護報酬は同じなのです。
(まったくなんで同じなんだろう)


訪問介護事業所は、たった一人の利用者さんの、特定行為が行えるだけの手続きに尽力していただき
ヘルパーさんには、その他もろもろの環境に慣れ、ケアを習得していただき
さらにその貴重なヘルパーさんが一人でも抜けること、休むことへの重責感を背負いながら

相談を密にして、医療連携をして、あれしてこれして・・・紆余曲折・・
やっと、ケアに入ってもらえるという


こりゃ、いばらの道だと言いたくなります。
提供する事業者が少ないのも無理ないです。


そうして、そのしわ寄せは、利用者本人と家族に、降りかかります。
サービスを利用できる時間数があるのに、その権利が保障されていても、サービスの提供者が居ないのです。

現代の世の中にはサービス産業が飽和状態であるのに、重度障がい者の介護には選択の余地がないくらいに、人材がいません。
24時間の必要な介護力を確保するのは、至難です。


介護事業所は、薄利のなか、福祉精神でやっている事業所もい多いので
なんとかかんとか、宝を探し出し、私も何件もの利他的な事業所さんと連携させていただいています。

まじで
ほんとうに
いつもありがとうございます。


医行為とされる喀痰吸引等が、制度として策定されることは必要ですし
これだけの手間も、書類も、危険性を鑑みると仕方がないところは否めませんが

せめて

報酬や、研修費用の負担は改善していただかないと

どれだけ国が、重度要介護者の在宅生活の推進を行っても、受け入れが困難です。


このように、福祉業界のなかの一握りの善意に依存した現行のやり方は
おかしいとおもいます。






 



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